「どん底から引き上げられる」

 国の危機に際して、聡明で知恵のある人物を探すという課題を抱えたファラオでしたが、自分の目の前にいる人物こそ、まさに理想の人物であるということに気が付きました。

お前をわが宮廷の責任者とする。わが国民は皆、お前の命に従うであろう。ただ王位にあるということでだけ、わたしはお前の上に立つ。」  ファラオはヨセフに向かって、「見よ、わたしは今、お前をエジプト全国の上に立てる」と言い、 印章のついた指輪を自分の指からはずしてヨセフの指にはめ、亜麻布の衣服を着せ、金の首飾りをヨセフの首にかけた。 ヨセフを王の第二の車に乗せると、人々はヨセフの前で、「アブレク(敬礼)」と叫んだ。ファラオはこうして、ヨセフをエジプト全国の上に立て、 ヨセフに言った。「わたしはファラオである。お前の許しなしには、このエジプト全国で、だれも、手足を上げてはならない。」

(聖書 創世記 41:4044 新共同訳)

 牢獄に入っていたヨセフさんは、一瞬にして国を任されるまでに引き上げられました。エジプトの人たちからすれば外国人であり、ついさっきまで牢獄に入っていた人です。

 しかし、王様はそんなヨセフさんに対して、大切な印章のついた自分がしていた指輪をヨセフさんの指へと移しました。

 これを見た時、周囲の人たちも「ファラオは本気なんだ」と悟ったことと思います。

 父のもとで特別な上着を着せられて特別な愛情を受けていたヨセフさんは、兄たちに上着を剥ぎ取られ、奴隷へと売られ、一度は色々と任される立場となりましたが牢獄へと入れられてしまいました。

 そんな紆余曲折を経験する中でも、神様はヨセフさんと共におられ、導き、ヨセフさんを成長させられました。そして、だれも予想しなかったところまで引き上げられていきました。

 人間的な視点で見れば、辛くて理不尽に思える歩みでした。しかし、全てはヨセフさんがここに来るために神様が計画されたものでした。