日別アーカイブ: 2020年8月27日

「お土産はなくても」

ヤコブさんは、兄の怒りから逃れるため家を離れ旅を始めたわけですが、行く当てもなく荒野をさ迷っていたわけではありませんでした。

旅立つ前に、母から行き先を示されていました。「わたしの子よ。今、わたしの言うことをよく聞き、急いでハランに、わたしの兄ラバンの所へ逃げて行きなさい。」(聖書 創世記27:43 新共同訳)

ヤコブさんは、この母の言葉に従い、伯父にあたるラバンさんの家を目指してハランに向けて旅を続けていたのでした。

ヤコブさん1つの井戸を見つけました。そこにいた人たちに話を聞くと、ハランの人たちであることがわかりました。そして、ヤコブさんはついに伯父のラバンさんの家にたどり着くことができたのでした。

本当なら、親戚の家にお世話になるにあたり、お土産の品をしっかりと揃えて行くのが普通でしたが、事情が事情なだけに、ヤコブさんは身ぐるみ一つで家から逃げて来た身でした。

複雑な事情の故に何も持たずに自分のもとを訪ねて来た甥っ子を、伯父のラバンさんはこのように迎え入れました。

「ラバンは、妹の息子ヤコブの事を聞くと、走って迎えに行き、ヤコブを抱き締め口づけした。それから、ヤコブを自分の家に案内した。ヤコブがラバンに事の次第をすべて話すと、ラバンは彼に言った。「お前は、本当にわたしの骨肉の者だ。」」(聖書 創世記29:13∼14 新共同訳)

身も心も孤独の中、神様の臨在を確信し、目的地を目指して歩き続けたヤコブさんは、親戚の家で新たな生活が始まったのでした。

しかし、ここでハッピーエンドではありませんでした。この伯父の家において、更なる試練がヤコブさんを待ち受けていました。