日別アーカイブ: 2020年10月8日

「神様の臨在」

20年前、兄の怒りを恐れて独り逃亡の旅に出たヤコブさんは、今度は故郷に向けてその来た道を歩き始めました。

しかし、ヤコブさんには大きな不安がありました。それは、20年前の出来事が何も解決していなかったということです。

故郷に帰りたい。しかし、帰れば自分が長子の特権を騙し取った兄のエサウさんがいる。恐らく、謝って赦してもらえるような次元の話ではありません。もしかすると自分の命が危険にさらされるかもしれないという不安もあったと思います。

そんな不安を抱えながらも神様の約束を信じて故郷を目指すヤコブさんに対して、神様は励ましをお与えになりました。

「ヤコブが旅を続けていると、突然、神の御使いたちが現れた。」

(聖書 創世記32:2 新共同訳)

神様が共にいてくださるから大丈夫。ヤコブさんはそんな気持ちになったことと思います。

しかし、またすぐにヤコブさんを不安にする出来事が訪れます。ヤコブさんは故郷に戻るにあたり、兄のエサウさんのもとに使いを送りました。

兄はまだ怒っているのだろうか。もしかすると20年も前のことだから、もう赦してくれているかもしれない。そんな期待もしながらの御機嫌伺でした。

しかし、戻ってきた使いの者によれば、兄は400人のお供を連れてこちらに向かって来るということでした。

怒っているのか赦してくれているのかの情報はありません。しかし、もし怒りのまま400人もの人たちに襲い掛かられたら、自分も自分の家族も財産も太刀打ちすることはできません。

ヤコブさんは色々と試行錯誤しながら万が一のことを考え、一緒に旅をしている人や財産を二組に分けました。

一方がやられてしまっても、もう一方が生き残れると考えたからです。先発隊を送り出したヤコブさんは、もう一度神様との真剣に向き合う時を過ごすこととなります。