「騙されたけれども」

伯父のラバンさんのもとで働きながら暮らすことになったヤコブさんは、ラバンさんに対して一つのお願いをしました。

「下の娘のラケルをくださるなら、わたしは七年間あなたの所で働きます」(聖書 創世記29:18 新共同訳)

これは、出発前に父から言われたことを忠実にはたすことになる大切なお願いでした。

「イサクはヤコブを呼び寄せて祝福して、命じた。『お前はカナンの娘の中から妻を迎えてはいけない。ここをたって、パダン・アラムのべトエルおじいさんの家に行き、そこでラバン伯父さんの娘の中から結婚相手を見つけなさい。』」(聖書 創世記28:1∼2 新共同訳)

さて、ラバンさんは快くその願いを受け入れ、七年間の働きが始まりました。7年

というと、とても長く思えてしまいますが、ヤコブさんにとってはそうでもなかったようです。

「ヤコブはラケルのために七年間働いたが、彼女を愛していたので、それはほんの数日のように思われた。」(聖書 創世記29:20 新共同訳)

約束の期間、しっかりと働いたヤコブさんでしたが、彼を待っていたのは衝撃の結末でした。ラケルさんとの結婚を夢見て一所懸命に働いたのにも関わらず、結婚相手として与えられたのはラケルさんではなく、お姉さんのレアさんでした。

これは労働力となるヤコブさんを手放すことを惜しんだ伯父のラバンさんによって仕組まれたことでした。

結局、ヤコブさんは更に七年間の期間働くことを条件に念願のラケルさんとの結婚を果たしたのでした。

最初の七年は数日のようだったヤコブさんでしたが、後半の七年はどうだったのでしょうか。しかし、どんな状況になったとしても、ヤコブさんのラケルさんに対する愛は変わることがなく、理不尽な条件のもとに置かれたとしても忠実に働いたのでした。