「父の死」

ヤコブさんが更なる旅を続ける中で、ヤコブさんにとってとても辛い出来事が起こりました。それは、愛する妻ラケルさんの死でした。ラケルさんは、ベニヤミンという息子を生む際に、難産であったと言われています。その結果、ベニヤミンを生んだ後、命を落としてしまいました。ヤコブさんにとってはとても辛い別れの時だったことと思います。

また、ヤコブさんはその後、もう一つ大きな別れを経験することとなりました。それは、父イサクさんの死でした。イサクさんの最後について、聖書はこのように言っています。

「イサクの生涯は百八十年であった。イサクは息を引き取り、高齢のうちに満ち足りて死に、先祖の列に加えられた。息子のエサウとヤコブが彼を葬った。」(聖書 創世記35:28∼29 新共同訳)

家族にとっては辛い別れの時でありましたが、イサクさんにとっては嬉しくもあったのではないかと思います。

それは、自分を葬ってくれたのが、愛する2人の息子だったからです。しばらく前まで、長子の特権を騙し取るという事件のせいで、兄は怒り、弟は逃げ、家族がバラバラになってしまっていました。

しかし、自分が死に直面する時、その2人の息子は敵対することなく、和解をして自分を葬るために協力してくれたからです。

イサクさんは、この二人の兄弟が再び顔を合わせ、和解をすることを祈っていたことと思います。

それが実現したことは、イサクさんにとってなによりの喜びとなったことと思います。

神様も、私たち一人一人の和解を望んでおられます。再臨の時、天の御国で多くの人と再会を果たす時、そこに不和はありません。その場所では、神様の愛によって皆が和解を経験しています。

死の悲しみに対し、神様が与えてくださる復活という希望と共に、私たちがこの世の歩みにおいて誰かとの和解を経験することができるように祈りたいと思います。