「おつかい」

父親から特別扱いを受けていた上に、頭にくるような夢の話をしている弟ヨセフに対して、大きな怒りと憎しみを抱いていた兄たちは、羊の群れを率いて仕事にでかけていきました。

働くために羊を連れて出かけて行った息子たちに対して、父ヤコブさんは不安をかかえていました。

それは、以前息子たちが妹が辱めにあった時、多くの人を虐殺するという大惨事を起こしたという過去があったからでした。

そんな不安を安心に変えようと、大事な息子ヨセフさんをおつかいにやることにしました。

「『兄さんたちはシケムで羊を飼っているはずだ。お前を彼らのところへやりたいのだが。』『はい、分かりました』とヨセフが答えると、更にこう言った。『では、早速出かけて、兄さんたちが元気にやっているか、羊の群れも無事か見届けて、様子を知らせてくれないか。』父はヨセフをヘブロンの谷から送り出した。」(聖書 創世記37:13∼14 新共同訳)

父ヤコブさんは、これで一安心と思ったことと思います。しかし、彼は大事なことに気が付いていませんでした。それは、自分のえこひいきのせいでヨセフさんが兄弟たちから憎まれていたということでした。

もし、それに気が付いていたら、大事な息子を兄たちのもとにおつかいにやることはなかったかもしれません。ヤコブさんは、今一番危険な場所へと大事な息子を遣わしたのでした。

神様も、大事な独り子を私たちのためにこの世に送ってくださいました。そこは、罪の支配の中にある危険な暗闇でした。そして、そのおつかいの結果は、人々から妬まれ、ののしられ、十字架にかけられるというものでした。

しかし、愛の神様はその危険な場所において、光を見いだすことができるようにとイエス・キリストという方を送ってくださいました。