「責任を負う」

愛する末息子のベニヤミンさんだけは、絶対に手放したくないという父の強い思いのため、兄弟たちはエジプトへ行くことができずに時が経とうとしていました。

 しかし、飢饉は続いています。エジプトから持ち帰った食糧も終わりが見え始めて来ました。

 これを機に、再度エジプトへ食糧を買いに行かざるを得ないという話が持ち上がりました。父ヤコブさんからエジプトへのお遣いの指示を受けた時、兄弟の1人が言いました。

ユダは、父イスラエルに言った。「あの子をぜひわたしと一緒に行かせてください。それなら、すぐにでも行って参ります。そうすれば、我々も、あなたも、子供たちも死なずに生き延びることができます。あの子のことはわたしが保障します。その責任をわたしに負わせてください。もしも、あの子をお父さんのもとに連れ帰らず、無事な姿をお目にかけられないようなことにでもなれば、わたしがあなたに対して生涯その罪を負い続けます。

(聖書 創世記 43:89 新共同訳)

 長男ルベンさんの息子の命をかけるという説得が拒まれてしまった今、回りまわってユダさんが口を開きました。ユダさんは、弟ベニヤミンの身の保証を約束し、万が一のことがあれば自分が生涯その罪を負い続けるという強い意志を持って父にかけあったのでした。

 そして、ついに父はその説得に応じることとなりました。

では、弟を連れて、早速その人のところへ戻りなさい。どうか、全能の神がその人の前でお前たちに憐れみを施し、もう一人の兄弟と、このベニヤミンを返してくださいますように。このわたしがどうしても子供を失わねばならないのなら、失ってもよい。」

(聖書 創世記1314 新共同訳)

 ユダさんの言葉は、父ヤコブさんに対してどのように刺さったかはわかりません。もしかすると、息子たちから何を言われても半信半疑でしか受け取ることができなかったかもしれません。しかし、万が一の時には自分がその罪を負い続けるという決心の言葉は、父の心を動かしたのではないかと思います。

 そして、ユダさんの言った「あの子のことはわたしが保証します」という言葉は、神様が私たち1人1人の救いに対して言ってくださっている言葉でもあります。

「あなたのことはわたしが保証します」と言ってくださる神様に信頼する歩みをしていきましょう。