「3日間」

長い年月を経て、兄たちがどのように変わったのかを知るため、ヨセフさんは自分の身分を隠したまま兄たちにスパイ容疑をかけたまま次の作戦に出ました。

お前たちのうち、だれか一人を行かせて、弟を連れて来い。それまでは、お前たちを監禁し、お前たちの言うことが本当かどうか試す。もしそのとおりでなかったら、ファラオの命にかけて言う。お前たちは間違いなく回し者だ。」ヨセフは、こうして彼らを三日間、牢獄に監禁しておいた。(聖書 創世記42:16∼17 新共同訳)

弟を連れてくるために、1人を選んで家に帰すように。これが、ヨセフさんが出した条件でした。もし、この条件をのまない、もしくは、今までの発言の中に嘘があったとしたら、自分たちは完全にスパイとして扱われてしまう。兄たちは、そんな状況におかれてしまいました。

しかし、既に大事な息子を失っている父に対して、兄弟がエジプトに監禁されており、更には末の弟を連れて行かなければならないということを告げるのは、たとえ自分たちの命がかかっていたとしても気が進まないことでした。

そんなハッキリしない状態でいたせいか、ヨセフさんは彼らを全員牢獄に監禁してしまいました。

3日間の間、自分たちが置かれた状況を見つめながら、色々なことを考えたことと思います。もし、自分たちにやましいことがなければ、素直に出された条件に従うこともできたかもしれません。しかし、今それに従うことができないのは、自分たちが過去にしてしまった残酷な過ちがあったからでした。

兄たちは、既に昔のような血気盛んで残酷なことをするような人間から、父や弟のことを思いやるような人間へと変えられていました。しかし、この3日間は更に反省の時となったことと思います。

しかし、なによりも、自分は3年近くも投獄されていたのにもかかわらず、兄たちを3日間で釈放してあげたヨセフさんも、長い年月を経て神様によって愛の人へと成長させられていたということを見ることができます。

辛く苦しい経験をする時、それは、神様が私たちを成長させてくださる時でもあるんだということに気が付かされます。