「罪の告白と涙」

兄たちをテストするために末の弟を連れてくるようにと条件を出したヨセフさんでしたが、それを聞いた兄たちは、父親をこれ以上悲しませるわけにはいかないという思いから行動に移すことができないまま投獄されることとなってしまいました。

 しかし、ヨセフさんは兄たちや食料を待つ故郷の人々を苦しめるつもりで投獄をしたわけではありませんでしたので、次の作戦に出ました。

 三日目になって、ヨセフは彼らに言った。「こうすれば、お前たちの命を助けてやろう。わたしは神を畏れる者だ。お前たちが本当に正直な人間だというのなら、兄弟のうち一人だけを牢獄に監禁するから、ほかの者は皆、飢えているお前たちの家族のために穀物を持って帰り、末の弟をここへ連れて来い。そうして、お前たちの言い分が確かめられたら、殺されはしない。」(聖書 創世記 42:1820 新共同訳)

 ヨセフさんが出した次なる条件は、9人が人質となり1人で帰るのではなく、その逆の1人が人質となり9人で末の弟を迎えに行くというものでした。

 その条件を聞いた兄たちはこう言いました。

彼らは同意して、互いに言った。「ああ、我々は弟のことで罰を受けているのだ。弟が我々に助けを求めたとき、あれほどの苦しみを見ながら、耳を貸そうともしなかった。それで、この苦しみが我々にふりかかった。」(聖書 創世記 42:20-21新共同訳)

 出された条件を呑んだものの、やはり兄たちの心にはもやもやするものがありました。その原因は、昔恨みや妬みのために助けを求める弟を無慈悲にも売り飛ばしてしまったという過去の出来事でした。

彼らはヨセフが聞いているのを知らなかった。ヨセフと兄弟たちの間に、通訳がいたからである。ヨセフは彼らから遠ざかって泣いた。・・・(聖書 創世記 2324 新共同訳)

 目の前にいるのがその弟であるということなど知る由もなく、また、目の前にいるそのエジプトの偉い人に自分たちの言葉が通じるなどとは考えもしない兄たちの口から出て来たのは罪の告白の言葉でした。ヨセフさんは、兄たちの純粋な今の気持ちを知り、涙が出てきました。

イエス様も、私たちが罪を認め、それを告白して悔い改める時、ヨセフさんのように涙を流されるのだろうなと思います。