「その場所で」

エジプトから戻った息子たちから気が遠くなるような話を聞かされたヤコブさんでしたが、ヨセフさんに会えるという希望を受け入れて旅立ちました。

イスラエルは、一家を挙げて旅立った。そして、ベエル・シェバに着くと、父イサクの神にいけにえをささげた。その夜、幻の中で神がイスラエルに、「ヤコブ、ヤコブ」と呼びかけた。彼が、「はい」と答えると、神は言われた。「わたしは神、あなたの父の神である。エジプトへ下ることを恐れてはならない。わたしはあなたをそこで大いなる国民にする。わたしがあなたと共にエジプトへ下り、わたしがあなたを必ず連れ戻す。ヨセフがあなたのまぶたを閉じてくれるであろう。」(聖書 創世記 46:14 新共同訳)

エジプトに向かう道中、父イサクさんの所縁の場所で神様を礼拝しました。その時、ヤコブさんは神様から語りかけられました。

その内容は、エジプトへ下ることを恐れてはならないというものでした。ヤコブさんにとってエジプトという地は特別な場所でした。それは、祖父アブラハムがエジプトの地でファラオに対し妻を妹と偽る事件を起こし、父イサクに対しては神様からエジプトの地にいってはならないと示されたという経緯があったからでした。

代々エジプトの地とは距離を置くような家系であったため、自分がエジプトの地に行くことは神様の御心なのであろうかという恐れがあったことと思います。

しかし、神様はそんな恐れを抱くヤコブさんに対し、「わたしがあなたと共にエジプトへ行く」と力強い約束をしてくださいました。

しかし、神様の御計画は、イスラエルの民がエジプトをゴールにすることではありませんでした。神様は、彼らをカナンという約束の地に連れていくことを計画しておられました。

それに向けて、今ある神様の御計画は、彼らがエジプトの地に移り住み、その中でもファラオが特別に与えてくれる場所に住むことで、エジプトという国の文化や偶像礼拝の宗教的影響を受けずに生活をしていくということでした。

そして、「わたしはあなたをそこで大いなる国民にする」。つまり、この整った環境の中で彼らが繁栄していくことが神様の御計画でした。

神様の御計画は私たちの想像を超えるものです。どうして私がこの場所で?と問いたくなることもあります。しかし、その背後には神様の綿密な御計画があるんだということです。

「恐れてはならない。わたしが共に行く」という神様の言葉は、私たちにとっての大きな励ましです。