「ナイル川へ」

エジプトの中で繁栄していくイスラエルの民は、神を畏れる2人のヘブライ人によって王の男児殺害命令から逃れることができました。

しかし、そんな中でも更なる命令がくだされました。

 ファラオは全国民に命じた。「生まれた男の子は、一人残らずナイル川にほうり込め。女の子は皆、生かしておけ。」(聖書 出エジプト記 1:22 新共同訳)

 この命令が出された渦中において、イスラエルの人々にとってとても重要になってくる存在がこの世に生を受けました。

彼女は身ごもり、男の子を産んだが、その子がかわいかったのを見て、三か月の間隠しておいた。 (聖書 出エジプト記 2:2新共同訳)

 生まれた男の子は、例外なく殺害命令の対象となっていました。しかし、何とかして命を救おうと存在を隠していました。しかし、長く隠しておくことはできません。そこで、母は信仰を持ってある計画を実行しました。

しかし、もはや隠しきれなくなったので、パピルスの籠を用意し、アスファルトとピッチで防水し、その中に男の子を入れ、ナイル河畔の葦の茂みの間に置いた。

(聖書 出エジプト記 2:3 新共同訳)

 母の計画は、息子をナイル川に連れて行くというものでした。しかし、それはファラオが出した命を奪うためにナイル川に投げ込むという命令に従うことではありませんでした。そうではなく、愛する息子の命を救うためにナイル湖畔へと置いたのでした。

その子の姉が遠くに立って、どうなることかと様子を見ていると、 そこへ、ファラオの王女が水浴びをしようと川に下りて来た。その間侍女たちは川岸を行き来していた。王女は、葦の茂みの間に籠を見つけたので、仕え女をやって取って来させた。

(聖書 出エジプト記 2:4-5 新共同訳)

 そこにやって来たのは、ファラオの王女でした。自分たちを苦しめる命令を出したエジプト側の人間です。見つかってしまったら命はないかもしれません。

しかし、母は神様が道を備えてくださるという信仰をもって、このファラオの王女が水浴びをする場所に息子を置いたのでした。

 これを通して、エジプトからイスラエルの民を救うための一歩が踏み出されました。